極高真空装置を用いた表面構造相転移の研究
【はじめに】
極高真空グループは、シリコンの表面構造形成過程における不純物の影響を調べることを主なテーマとしております。
シリコン(111)表面の最安定構造であると考えられている7x7構造が、酸素によって誘起、安定化されている、という説を大泊教授が提案されております。
この表面の酸素の影響を調べるために、雰囲気から試料表面に入射する不純物原子の量をできる限り低減する、というコンセプトのもとに極高真空表面構造観察装置が設計、製作されました。
さらに、溶存酸素濃度が極めて低い(7.0×1015 atoms /cm3、通常のCZ結晶よりも2桁低い)シリコン結晶も小松電子金属のご協力を得て、準備することができました。 これまで、極高真空、及び低酸素濃度の特徴を生かし、"1x1"→7x7構造相転移が微量な酸素の介入によってどのように変化するかを調べてきました。
【極高真空】
真空に関する説明図
極高真空装置の写真
・極高真空装置のプロパティ
チャンバー
壁からの脱ガスを最低限に抑えるために、複合電界研磨、溶体化処理(10
-5
Torr,1300K)、複合電界研磨、真空中ベーキング(823K)の工程を経て製作されました。
材質
SUS316L(耐腐食性)
容量
48liter
真空度
到達真空度はエクストラクターゲージの測定限界である1×10
-12
Torr以下です。RHEEDによる表面観察時においても10
-12
Torr台を維持することが可能です。
【排気曲線】
排気曲線
【実験方法】
研究対象----Si(111)"1×1"→7×7表面構造相転移
極高真空中での相転移温度の測定
7x7構造のRHEED Pattern
手順
溶存酸素濃度の異なるシリコン(111)結晶を用意し、極高真空中で通電加熱し、表面の酸化膜を除去。
RHEEDで表面を観察しながら試料を通電加熱。相転移温度(1100K)付近でサンプルの温度を上下させ、1/7次の超格子反射強度が消えた温度を相転移温度とする。
溶存酸素濃度の異なるサンプルで相転移温度を比較。
表面の熱処理の方法を変化させ、相転移温度を比較。
表面構造相転移過渡状態に及ぼす不純物ガスの影響
レーザー照射システム図
RHEEDパターンの変化
シリコン (111)表面を極高真空中で通電加熱し表面の酸化膜を除去。原子が 7x7に配列した表面にパルスレーザーを照射し、7x7構造を完全に破壊する。その後、表面に再配列する7x7構造の成長をRHEEDの超格子反射強度でモニタ。レーザー照射後の7x7構造の成長と中で不純物ガスを導入し7x7構造の成長過程の変化を観察する。(同様の実験をSTMを用いて行っている)
【装置構成】
極高真空チャンバー
拡散ポンプ(Edwards E06)
液体窒素シュラウド(Vacuum Generator CT-150)
チタンゲッターポンプ
4.2K級ベーカブルタイプクライオポンプ(ダイキン)
エクストラゲージ(Lybold)
4重極質量分析計(Spectra Metrics Monitorr)
RHEED(Veetech)
20eV,35μA
高濃度オゾン発生装置(日本オゾン)
(Continuum surelite II)
YAG SHG(λ=532nm)
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これまでの研究成果